相続税とは何か
相続税は、ある人が亡くなった際に、その人の遺産を引き継ぐ人が支払う税金です。
遺産には不動産、預金、株式など、さまざまな資産が含まれます。
日本では、相続税の対象となる遺産の価値が基礎控除額を超える場合にのみ、相続税が課されます。
相続税の計算方法
相続税の計算は、遺産総額から各種控除を差し引いた後の金額に対して行われます。
控除には以下のような項目があります。
基礎控除
- 相続税が課税される最低限度の遺産額を定める控除。基礎控除額は相続人の数に応じて増加します。
債務控除
- 故人の負っていた債務。遺産から故人の借金や諸費用を差し引くことができます。
葬式費用控除
- 葬儀にかかった費用。一定の範囲内で相続財産から控除可能です。
配偶者控除
- 配偶者に対しては、一定額までの相続財産が非課税となる特別な控除。
特別控除(未成年者、障害者等)
- 未成年者や障害を持つ相続人に対する追加の控除。
小規模宅地等の特例控除
- 自宅や事業用の不動産など、特定の宅地に対する評価額の控除。
生命保険金・退職手当の控除
- 生命保険金や退職手当など、一定限度内で控除される特別な資産。
公益法人等への寄付控除
- 公益法人や宗教法人などへの寄付は、一定条件の下で控除対象となり得ます。
残った金額に対して税率が適用され、税額が算出されます。
基礎控除とは
基礎控除とは、相続税が課されない遺産の金額のことを指します。
これは、相続人の数と法定相続分に応じて計算されます。
相続人の数 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3,000万円+600万円 × 法定相続人の数1名=3,600万円 |
2人 | 3,000万円+600万円 × 法定相続人の数2名=4,200万円 |
3人 | 3,000万円+600万円 × 法定相続人の数3名=4,800万円 |
この控除額を超える部分についてのみ、相続税が課されることになります。
相続税の税率
相続税の税率は、相続財産の総額によって異なります。
税率は10%から最高55%まであり、相続財産が多いほど高い税率が適用されます。
相続額の範囲 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超 3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 6億円以下 | 45% | 4,200万円 |
6億円超 | 50% | 7,200万円 |
税率は累進課税となっており、遺産の金額が増えるほど税率も上昇します。
相続税申告までのスケジュールと納税方法
相続税の納税は、相続が発生してから10ヶ月以内に行う必要があります。
相続開始(故人の死亡)
- 相続は、故人が亡くなった瞬間に開始されます。
遺産の確認と評価
- 相続財産の内容を確認し、それぞれの財産の評価を行います。
相続人の確定
- 法定相続人を確定し、必要に応じて相続の放棄や限定承認を行います。
遺産分割協議
- 相続人間で遺産分割の協議を行い、分割方法を決定します。
相続税の計算
- 遺産の総額から控除を差し引いて、相続税を計算します。
相続税の申告
- 相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告を行う必要があります。
相続税の納付
- 申告と同時に、またはその後に相続税を納付します。
税金の支払いは、通常は現金で行われますが、相続財産が不動産などの場合、物納(不動産などを国に納めること)を利用することも可能です。