「うちの両親、遺言書は書いてるのかな?」
「もしもの時、兄弟と揉めたらどうしよう…」
誰もが一度は考えるけれど、なかなか踏み込めない相続の問題。
2019年からの民法改正で、実は暮らしに寄り添った制度に生まれ変わっているんです。
改正ポイント | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
預貯金の仮払い | 凍結され全額引き出し不可 | 一定額の仮払いが可能 |
配偶者居住権 | なし | 配偶者が自宅に住み続ける権利を確保 |
自筆証書遺言の保管 | 家庭内保管が主流 | 法務局で安全に保管可能 |
生前贈与の加算期間 | 相続開始前3年以内 | 相続開始前7年以内 |
従来、相続発生後に預貯金口座が凍結されると、遺産分割協議が成立するまでの間、必要な費用を支払えないケースが問題視されていました。
この点が改正によって緩和され、相続人は一定の金額を仮払いとして引き出せるようになりました。
これにより、生活費や葬儀費用を迅速に確保することが可能になり、相続人が一時的な金銭的困難に陥るリスクが軽減されました。
また、民法改正の目的の一つは、相続のルールをより分かりやすくし、遺産分割をスムーズに進めることです。
そのため、配偶者や相続人の権利を守るための新制度が導入されました。
配偶者居住権の新設とその意義
2019年の改正では、「配偶者居住権」という画期的な制度が導入されました。
これにより、配偶者が被相続人の死亡後も、生活基盤となる住居に住み続けられる権利が認められるようになりました。
従来の制度では、遺産分割で自宅を他の相続人と共有せざるを得ない場合があり、売却が必要になるケースもありましたが、この改正によって問題が大幅に緩和されました。
例えば、資産が自宅のみの家庭では、配偶者が住居を確保しつつ他の相続人との遺産分割を進めることが可能になり、家庭内の争いを防ぐ効果が期待されています。
しかし、配偶者居住権を利用するためには遺産分割協議や公正証書遺言が必要な場合もあります。
また、居住権の評価額が新たな遺産分割協議の対象となるため、事前に専門家と相談することが重要です。
自筆証書遺言の簡略化と保管制度
民法改正は遺言の作成・保管に関する手続きも簡便化しました。
特に、「自筆証書遺言書保管制度」の導入は、遺言書の安全性と有効性を大幅に向上させました。
以前は家庭内での保管が一般的でしたが、紛失や改ざん、形式不備による無効リスクが問題でした。
改正後、遺言者は法務局に遺言書を預けることが可能となり、紛失やトラブルを防ぐことができます。
この制度を活用することで、相続人間の争いを未然に防ぎ、相続手続きをスムーズに進めることが可能です。
さらに、自筆証書遺言の作成において、全文を手書きする必要がなくなり、財産目録などはパソコンで作成可能となりました。
これにより、作成の手間が減り、より多くの人が遺言書を活用できるようになったのです。
相続税への影響と生前対策の重要性
今回の改正は相続税にも影響を及ぼしました。
特に、生前贈与の取り扱いに関するルールが変更され、相続開始前の一定期間に行われた贈与が相続税の対象になる期間が延長されました。
この変更により、生前贈与を活用した相続税対策がより慎重に行われる必要があります。
また、相続税の基礎控除額は依然として限られており、相続税を支払う必要がある家庭は増加傾向にあります。
そのため、遺言書や生命保険の活用、生前贈与を含む計画的な相続対策がこれまで以上に重要となっています。
生前対策には、家族信託や遺言信託などの仕組みを利用することも有効です。
これにより、資産を円滑に引き継ぎつつ、トラブルを防止することが可能です。
民法改正への対応と専門家への相談のすすめ
民法改正は相続におけるさまざまな場面に影響を及ぼしています。
そのため、相続人の権利や相続手続きのルールをしっかりと理解することが求められます。
特に、遺産分割協議や相続税申告などは専門的な知識が必要になるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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遺言書の作成や相続人間の調整、生前贈与のアドバイスなど、さまざまな問題に対応可能です。
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