特定技能1号の要件は、本人側の取得条件と受入れ企業側の義務の両面から整理する必要があります。本人には技能試験と日本語能力の証明が原則として求められ、企業側には適切な雇用契約と支援計画の整備が必要です。技能実習2号を良好に修了した場合は一定の試験免除がありますが、免除の範囲は分野や職種との関連性によって異なります。
特定技能1号の要件:4つの観点からの結論
- 本人の条件として、18歳以上であること、分野に応じた技能試験と日本語試験への合格が原則として必要
- 技能実習2号を良好に修了した場合、一定の条件のもとで試験が免除される場合があるが、すべての試験が免除されるわけではない
- 受入れ企業は、同等業務の日本人と同等以上の報酬を含む適切な雇用契約、法令・納税・社会保険の遵守、および支援計画の整備が必要
- 在留期間は通算で原則5年以内であり、家族帯同は原則として認められない
1. 特定技能1号の要件を一覧で確認する
特定技能1号の取得条件は、本人に関するものと受入れ企業に関するものに大別されます。出入国在留管理庁の公表資料をもとに、主な要件を整理します。
| 区分 | 主な要件 |
|---|---|
| 年齢 | 18歳以上であること |
| 健康状態 | 良好であること |
| 技能試験 | 対象分野の技能評価試験に合格(技能実習2号修了者は関連性のある分野・職種で免除の場合あり) |
| 日本語能力 | JFT-BasicまたはJLPT N4以上が原則。分野により異なる(例:自動車運送業・鉄道の一部区分は現行N3以上) |
| 保証金・違約金 | 徴収されていないこと、違約金を定める契約がないこと |
| 費用の理解・合意 | 自身が負担する費用の内容と金額を理解し合意していること |
| 送出国手続 | 国籍に応じた送出国の手続きを経ていること |
| 分野固有要件 | 各分野の運用要領に定める個別要件を満たすこと |
| 雇用契約 | 同等業務の日本人と同等以上の報酬等を含む適切な契約 |
| 企業の支援体制 | 支援計画の策定・実施(登録支援機関への委託も可) |
注意事項:試験合格だけで在留資格が決まるわけではない
技能試験や日本語試験に合格していることは重要な要件ですが、それだけで特定技能1号の在留資格が許可されるものではありません。雇用契約・支援計画・本人の状況・国籍別手続など、複数の要件が総合的に審査されます。
2. 本人が満たすべき技能と日本語能力の要件

特定技能1号を取得するためには、原則として就労しようとする分野の技能評価試験と日本語試験の両方に合格していることが求められます。出入国在留管理庁FAQおよび厚生労働省介護分野の公表資料に基づき、各要件の内容を確認します。
技能評価試験について
技能試験は各分野を所管する省庁が実施または認定するもので、就労を予定する分野の試験に合格していることが必要です。分野ごとに試験の内容・実施状況・受験資格が異なるため、就労予定の分野別運用要領と所管省庁の最新案内を確認することが重要です。
「特定技能1号」の定義
特定技能1号とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、特定産業分野において相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人に付与される在留資格です。在留期間は通算で原則5年以内で、家族帯同は原則として認められません。
日本語能力の要件
日本語能力については、多くの分野でJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)またはJLPT(日本語能力試験)N4以上の合格が求められます。ただし、分野によって求められる水準は異なります。
- 多くの分野はJFT-BasicまたはJLPT N4以上が基準
- 介護分野では、上記の日本語試験に加えて「介護日本語評価試験」への合格が原則として必要(免除要件については後述)
- 自動車運送業のタクシー・バス運転者および鉄道の運輸係員については、現行制度においてN3以上の水準が必要
- すべての分野でN4の水準でよいわけではなく、分野ごとの最新認定水準は各分野の資料で確認が必要
自動車運送業・鉄道分野における日本語水準の今後の変更予定
出入国在留管理庁の2026年9月30日付案内によると、自動車運送業のバス・タクシー運転者および鉄道の運輸係員については、B1相当以上の日本語水準の確認が在留資格認定証明書交付申請では2027年4月1日以降に開始される予定です。変更・更新許可申請への適用時期については検討中とされています。この変更はこれらの特定区分に関するものであり、全分野でN3以上が必要になるものではありません。最新の公式案内を必ずご確認ください。
3. 技能実習2号修了者の試験免除はどのような条件か
技能実習2号を良好に修了した場合、特定技能1号に移行する際に一定の試験が免除される場合があります。ただし、免除が認められる範囲には条件があり、すべての試験が自動的に免除されるわけではありません。
日本語試験の免除
技能実習2号を良好に修了した場合、JFT-BasicまたはJLPT N4以上を求める分野の一般的な日本語試験は原則として免除されます。ただし、N3以上の水準が求められる区分については個別に確認が必要です。
介護日本語評価試験の扱い
介護日本語評価試験は、介護分野に特有の追加試験です。介護職種の技能実習2号を良好に修了した者等については免除される場合がありますが、他の職種の技能実習2号修了だけでは介護日本語評価試験まで自動的に免除されるわけではありません。介護分野に移行する場合は個別に要件を確認することが必要です。
技能試験の免除
技能試験の免除には、技能実習での職種・作業と特定技能1号として就く業務との間に関連性があることが必要です。関連性がない分野・業務に移行する場合は、技能試験の免除は認められません。
技能実習2号修了で免除される試験のまとめ
- 一般的な日本語試験(JFT-BasicまたはN4水準を求める分野):原則免除
- 技能試験:実習の職種・作業と就業予定業務に関連性がある場合に免除
- 介護日本語評価試験:介護職種の技能実習2号良好修了者等には免除の場合あり。他職種の良好修了のみでは自動免除とならないため個別確認が必要
- N3以上を求める区分への移行:個別確認が必要
- 関連性のない分野への移行:技能試験の免除は認められない
4. 受入れ企業が満たすべき要件とは

特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、雇用契約・法令遵守・支援体制のいずれの面においても、一定の基準を満たすことが求められます。外務省の受入れ機関に関する案内もあわせて参照してください。
雇用契約の条件
外国人を雇用する際の雇用契約は、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払う内容でなければなりません。また、フルタイムの直接雇用が原則とされています。
法令・社会保険・納税の遵守
受入れ企業は、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していることが求められます。過去の違反歴や不正行為がある場合は受入れが認められないことがあります。
支援計画の整備と実施
受入れ企業は、特定技能外国人が安定して就労・生活できるよう支援計画を策定し、実施する義務を負います。支援の内容には、事前ガイダンス、出入国の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応などが含まれます。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、受入れ企業から委託を受けて特定技能外国人への支援業務を代行する機関です。出入国在留管理庁への登録が必要で、受入れ企業は支援計画の実施を登録支援機関に委託することができます。ただし、雇用契約の締結・各種届出など企業固有の責任がなくなるわけではありません。
地域共生への協力(2025年4月以降)
出入国在留管理庁の自治体共生施策に関する案内によると、2025年4月から、受入れ企業には対象自治体の共生施策への協力および支援計画への反映が必要とされています。協力確認書の提出先・時期については本人の住所や事業所の所在自治体等に応じて確認が必要であり、すべての入管申請に一律で添付が必要なものではありません。
5. 申請の準備を進める際に確認すべき事項
在留資格申請は、認定・変更・更新の3種類があり、それぞれ準備すべき書類や手続きの流れが異なります。また、申請の内容や審査の状況によって必要書類・所要期間も変わります。
申請の種類と場面
- 在留資格認定証明書交付申請:国外から新たに招へいする場合(海外からの呼び寄せが原則的な場面)
- 在留資格変更許可申請:技能実習など別の在留資格から特定技能1号に国内で変更する場合
- 在留期間更新許可申請:現在の特定技能1号の在留期限が近づいた場合
準備段階で確認しておきたい事項
- 就労予定分野の技能試験・日本語試験の合格証明書(または技能実習修了証明書)
- 介護分野への移行の場合、介護日本語評価試験の合格証明書または免除に該当するかの確認
- 雇用契約書の内容(報酬・業務内容・就労時間等)
- 支援計画書の策定状況(登録支援機関への委託状況を含む)
- 国籍に応じた送出国手続きの履行確認
- 対象自治体の共生施策への協力確認書(2025年4月以降、所在自治体が対象の場合)
例えば、介護分野で技能実習2号(介護以外の職種)を修了した方が特定技能1号に移行しようとする場合、一般的な日本語試験は免除対象となり得る一方、介護日本語評価試験については別途確認が必要になります。申請前に分野別運用要領と照合し、必要な証明書類を漏れなく準備することが重要です。
6. よくある質問(FAQ)
Q. 特定技能1号の在留期間はどのくらいですか?
A. 特定技能1号の在留期間は通算で原則5年以内とされています。ただし、一定の休業期間の扱いや特定技能2号への移行に関する特例等があるため、必ずしも5年で就労が終了するとは限りません。詳細は出入国在留管理庁の最新案内をご確認ください。
Q. 家族を日本に呼ぶことはできますか?
A. 特定技能1号では、家族帯同は原則として認められていません。特定技能2号については、要件を満たす配偶者・子が家族滞在の対象となり得る場合があります。個別の状況については所管機関にご確認ください。
Q. 技能実習2号を修了すれば、どの分野でも試験なしで特定技能1号に移行できますか?
A. そうではありません。技能試験の免除には、技能実習での職種・作業と特定技能1号として就く業務の間に関連性があることが必要です。関連性がない分野に移行する場合は技能試験への合格が必要です。また、介護日本語評価試験は介護職種の技能実習2号良好修了者等には免除される場合がありますが、他職種の修了だけでは自動的に免除されません。N3以上の水準が求められる区分も個別に確認が必要です。
Q. 支援計画は受入れ企業が自社で実施しなければなりませんか?
A. 支援計画の実施は、登録支援機関に委託することができます。ただし、雇用契約の締結や出入国在留管理庁への各種届出など、企業が直接担う責任がなくなるわけではありません。登録支援機関に委託した場合でも、受入れ企業としての義務は継続します。
Q. 2027年以降に支援体制の要件が変わると聞きましたが、現時点での要件に影響はありますか?
A. 出入国在留管理庁の案内によると、支援責任者等の常勤選任等に関する支援体制要件の改正は2027年4月1日施行予定とされています。現時点(2026年10月時点)では改正前の要件が適用されており、詳細な経過措置等については出入国在留管理庁の公式案内をご確認ください。
Q. 特定技能1号の対象分野はいくつありますか?
A. 対象分野は制度の運用に伴い追加・変更される場合があります。制度への分野追加と実際の試験・申請受付開始のタイミングが異なる場合もあるため、現時点での対象分野と申請受付状況については、出入国在留管理庁の分野別運用要領および所管省庁の最新案内をご確認ください。
Q. 申請の際に在留資格認定証明書はどのような場合に必要ですか?
A. 在留資格認定証明書は、主に海外から特定技能外国人を新たに招へいする場合に使用します。国内で別の在留資格から特定技能1号に移行する場合は在留資格変更許可申請、在留期限の更新は在留期間更新許可申請が該当します。外務省の申請の流れに関する案内もあわせてご参照ください。
まとめ
出入国在留管理庁の公表資料(特定技能運用要領・分野別資料)に基づく特定技能1号の要件は、本人側・企業側の両面から整理されます。申請前には分野別運用要領と所管省庁の最新案内を必ず確認し、個別の状況に応じた準備を進めることが重要です。
- 特定技能1号の本人要件は、18歳以上・健康状態良好・技能試験と日本語試験の合格(分野により水準が異なる)・保証金や違約金に関する条件の充足など
- 日本語試験は多くの分野でJFT-BasicまたはJLPT N4以上が基準だが、介護分野では介護日本語評価試験が追加で必要(介護職種の技能実習2号良好修了者等には免除の場合あり)、一部区分では現行N3以上が求められる
- 技能実習2号を良好修了した場合の試験免除は条件付きであり、職種・作業と業務の関連性の確認、および介護日本語評価試験の扱いの個別確認が不可欠
- 受入れ企業は、適切な雇用契約・法令遵守・支援計画の整備と実施が義務づけられており、支援業務は登録支援機関に委託できるが企業の責任は継続する
- 在留期間は通算で原則5年以内、家族帯同は原則として不可
- 2025年4月以降、対象自治体の共生施策への協力確認書の提出が必要な場合がある
- 2027年4月施行予定の支援体制要件改正は現時点では適用されていない
参考:公式情報
- 出入国在留管理庁 特定技能FAQ
- 厚生労働省 介護分野における特定技能
- 外務省 受入れ機関に関する案内
- 出入国在留管理庁 在留資格申請
- 外務省 申請の流れ
- 出入国在留管理庁 自治体共生施策
- 出入国在留管理庁 日本語水準変更予定(2026年9月30日公表)
- 出入国在留管理庁 支援体制改正予定(2027年4月施行予定)
情報確認日:2026年10月4日
