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技能実習2号から特定技能1号への移行:手続きの流れと企業側の準備を確認する

技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行できるかどうかは、「良好修了の有無」と「実習職種と特定技能分野の関連性」の2点で判断されます。この2つを満たしていれば技能試験・日本語試験が原則免除となり、在留資格変更許可申請を行うことで継続して日本で就労できます。企業側は、在留期限の少なくとも3〜4か月前から書類準備と支援体制の整備を始めることが実務上の目安です。

移行可否と準備の要点

  • 「良好修了」と「分野の関連性」の両方を満たす場合、技能試験・日本語試験は原則免除
  • 在留資格変更許可申請は現在の在留期限内に行う必要があり、期限切れ後の申請は不可
  • 企業は在留期限の3〜4か月前を目安に、書類収集・登録支援機関の選定・雇用契約の整備を開始する
  • 監理団体から登録支援機関への切り替えが必要。引き継ぎ事項の抜け漏れが実務上のつまずきポイント
  • 分野の不一致や実習評価が不良の場合は試験免除が使えず、別途対応が必要

1. 移行できる条件:良好修了と分野関連性の2つを確認する

出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」によると、技能実習2号修了者が試験免除で特定技能1号に移行するためには、次の2つの条件を同時に満たすことが必要です。

条件 内容と確認のポイント
①良好に修了していること 技能実習2号の在留期間中に技能実習計画を修了し、技能検定3級(または技能実習評価試験の専門級)に合格していること。実習実施者から「技能実習を良好に修了した旨の評価調書」等の書類が発行される
②職種・作業と特定技能分野に関連性があること 技能実習での職種・作業が、移行先の特定技能1号の分野・業務区分と関連していること。出入国在留管理庁が定める対応表(移行対象職種一覧)で確認する

「良好に修了」とは何を指すか

「良好に修了」とは、単に実習期間が終了したことではありません。技能実習計画の全課程を修了し、かつ技能検定3級相当(または技能実習評価試験の専門級)に合格していることが要件です。実習中に技能検定を受験していない場合や、試験に不合格だった場合は「良好修了」と認められない可能性があります。修了証明書・評価調書の内容を早期に確認してください。

試験免除の範囲に関する注意点

  • 日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4相当を求める分野)は良好修了により原則免除
  • 技能試験は、実習職種・作業と特定技能分野に関連性がある場合のみ免除
  • 介護分野へ移行する場合、介護職種の技能実習2号修了者は介護日本語評価試験も免除対象となる場合があるが、他職種からの移行では個別確認が必要
  • N3以上の水準が求められる区分(自動車運送業のタクシー・バス運転者、鉄道の運輸係員等)については別途確認が必要

2. 移行に向けたスケジュール:いつ・誰が・何をするか

在留資格変更許可申請の審査には一定の期間がかかります。出入国在留管理庁の案内では申請から許可まで標準的に数週間〜2か月程度かかるとされていますが、案件の内容や時期によって変動します。在留期限を越えてしまうと就労継続が困難になるため、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。

時期の目安 対応主体 実施事項
在留期限の4か月前 企業・監理団体 移行の意向確認、良好修了の見通し確認、分野関連性の確認
在留期限の3か月前 企業 登録支援機関の選定・契約交渉、雇用条件の整理(同等業務の日本人と同等以上の報酬等)
在留期限の2〜3か月前 企業・登録支援機関 必要書類の収集開始、支援計画の作成、監理団体からの引き継ぎ情報の受領
在留期限の1〜2か月前 登録支援機関・行政書士等 在留資格変更許可申請の提出
申請後〜許可 全員 追加資料対応、許可証受領、在留カード更新

申請中の在留期限切れに関する扱い

在留期限内に変更申請を行った場合、申請中は「申請中」の扱いとなり、従来の活動を一定期間継続できる特例があります(出入国管理及び難民認定法第20条第6項)。ただし、在留期限を過ぎてから申請することはできません。期限直前の申請は追加資料対応の時間的余裕を失うリスクもあるため、早めの着手が重要です。

3. 企業側が準備する書類と、監理団体・登録支援機関との引き継ぎ事項

在留資格変更許可申請(特定技能関係)では、企業・本人・登録支援機関それぞれが関係する書類を準備する必要があります。出入国在留管理庁が公表する必要書類一覧(特定技能関係)をもとに、企業側の準備物を整理します。

企業側で準備・確認が必要な主な書類

  • 特定技能雇用契約書(特定技能外国人に関する契約書)
  • 雇用条件書(報酬・労働時間・業務内容等を記載)
  • 支援計画書(登録支援機関に委託する場合は登録支援機関との委託契約書も必要)
  • 登記事項証明書・決算書等(受入れ機関の状況を示す書類)
  • 技能実習を良好に修了したことを証明する書類(技能実習評価試験の合格証・修了証明書・評価調書等)
  • 分野別の固有書類(分野所管省庁の運用要領で確認)

「評価調書」とは何か

評価調書とは、技能実習実施者(受入れ企業)が技能実習生の実習状況や技能・態度を評価した書類です。「良好に修了した」ことを証明する根拠資料のひとつとして使用されます。職種ごとに実施機関が様式を定めていますので、監理団体・実習実施者と連携して取得してください。

監理団体から登録支援機関への引き継ぎで確認すべきこと

技能実習制度では監理団体が関与しますが、特定技能に移行すると監理団体の役割は終了し、代わりに登録支援機関が支援を担います。この切り替え時に情報が断絶しやすく、実務上のつまずきが起きやすいポイントです。

  • 技能実習評価試験の合格証・修了証明書の原本または写しの引き渡し
  • 実習評価調書の保管状況と取得先の確認
  • 本人の在留カード・パスポートの期限確認(在留カードの有効期限と在留期限は別物)
  • 本人の住所・家族構成・健康状態等の基本情報の共有
  • これまでの実習期間中に問題となった事項の有無の確認

登録支援機関に支援を委託する場合の留意点

特定技能外国人の受入れ企業は、支援計画を自社で実施するか、登録支援機関に委託するかを選択できます。委託する場合は、委託前に支援計画の内容・支援の実施体制・費用を確認し、委託契約を締結したうえで申請書類に反映させる必要があります。委託しても企業の責任が消えるわけではなく、支援の実施状況を把握し続ける義務があります。

4. 在留資格変更申請の流れと審査期間の目安

特定技能1号への変更申請は「在留資格変更許可申請」として、地方出入国在留管理局(または管轄出張所)に提出します。オンライン申請にも対応しており、行政書士等の申請取次者を通じて手続きを進めることが実務上一般的です。

  1. 必要書類の収集・作成(企業・登録支援機関・本人が協力)
  2. 申請書類の確認・申請書作成
  3. 地方出入国在留管理局への申請(窓口またはオンライン)
  4. 審査(出入国在留管理庁による書類審査)
  5. 追加資料の提出(求められた場合)
  6. 許可通知・在留カード更新

審査期間の目安

審査にかかる期間は、申請内容・申請時期・管轄局の状況により異なります。標準処理期間として数週間〜2か月程度がひとつの目安とされますが、追加資料が求められた場合はさらに時間がかかります。在留期限から逆算して余裕を持って申請することが重要です。

5. 移行できないケースと、その場合の選択肢

次のいずれかに該当する場合、試験免除による特定技能1号への移行は認められません。状況に応じた対応が必要になります。

移行できないケース 主な対応の選択肢
実習職種と特定技能分野が関連していない 該当する特定技能分野の技能評価試験を受験して合格したうえで申請する、または別の在留資格を検討する
技能実習の評価が不良(良好修了と認められない) 技能評価試験・日本語試験を受験して合格したうえで申請する(試験免除は使えない)
技能検定3級等を受験・合格していない 修了証明の要件を充足しているか監理団体に確認。不足の場合は試験受験が必要
企業側の受入れ要件(社会保険・納税等)を満たしていない 要件を整備してから申請する。要件未充足のまま申請しても許可されない

試験免除が使えない場合に受験が必要な試験

  • 技能評価試験(各分野の所管省庁・実施機関が運営)
  • 日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上。分野によりN3以上が必要な場合あり)
  • 介護分野に移行する場合は介護日本語評価試験も別途確認が必要

試験の実施時期・受験地・申込締切は実施機関ごとに異なります。在留期限との兼ね合いを考慮して早めに受験スケジュールを確認してください。

6. よくある質問(FAQ)

Q. 技能実習2号を修了していれば必ず特定技能1号に移行できるのか?

A. 修了しているだけでは不十分です。「良好に修了したこと(技能検定3級等への合格を含む)」と「実習職種・作業と特定技能分野の関連性」の両方が必要です。どちらか一方でも欠ける場合は、試験を受験して合格するか、別の対応を検討することになります。また、企業側の受入れ要件(雇用契約・支援計画・法令遵守等)を満たしていることも許可の前提です。

Q. 移行申請は実習の在留期限が切れる前に完了させる必要があるか?

A. 申請の提出は在留期限内に行う必要があります。在留期限内に申請を提出した場合、出入国管理及び難民認定法第20条第6項の規定により、許可・不許可の決定が出るまでの間は引き続き在留できる特例があります。ただし、在留期限を過ぎてから申請することはできません。審査期間中に追加資料が求められることもあるため、期限の1〜2か月前を目安に申請を行うことが実務上の基本です。

Q. 監理団体から登録支援機関への引き継ぎで企業が確認すべきことは何か?

A. 最低限確認すべき事項は、①良好修了を証明する書類(合格証・修了証明書・評価調書)の取得先と保管状況、②本人の在留カード・パスポートの有効期限、③実習中に問題となった事項の有無、④本人の住所・家族等の基本情報、の4点です。これらが登録支援機関に引き継がれていないと、申請書類の準備が遅れる原因になります。当事務所に申請のご相談をいただく案件でも、修了証明書の所在が不明なまま期限が迫っているケースが見られます。監理団体との契約終了前に確認リストを作成して照合することを推奨します。

Q. 特定技能に移行した後も同じ会社で働かせることはできるか?

A. 可能です。技能実習から特定技能への移行後も、同一の企業で就労を継続できます。ただし、在留資格が変わるため、新たに特定技能雇用契約を締結し、支援計画を整備したうえで変更申請を行う必要があります。技能実習時の労働条件がそのまま引き継がれるわけではなく、特定技能の基準(同等業務の日本人と同等以上の報酬等)を満たす雇用条件への見直しが必要です。

まとめ

企業が押さえるべきポイントの整理

  • 移行の可否は「良好修了(技能検定3級等合格を含む)」と「分野の関連性」の2点で判断する
  • 両方を満たす場合、技能試験・日本語試験は原則免除。介護分野や一部区分は個別確認が必要
  • 在留期限の3〜4か月前を目安に、書類収集・登録支援機関の選定・雇用条件の整備を開始する
  • 申請は在留期限内に提出する必要がある。期限切れ後の申請は受理されない
  • 監理団体から登録支援機関への切り替え時に、修了証明書類・本人情報の引き継ぎ確認を徹底する
  • 分野の不一致・評価不良の場合は試験受験が必要。在留期限との兼ね合いで早期判断が求められる
  • 企業側の受入れ要件(社会保険・納税・雇用契約・支援計画)をすべて整えてから申請する

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