
行政書士法人は、行政書士法に基づいて設立される法人格を持つ行政書士の組織です。個人の行政書士事務所と何が異なるのか、依頼者にとってどのようなメリットがあるのかを、さいたま市で手続きを検討している方に向けて整理します。
行政書士法人の要点
- 行政書士法人は行政書士法第13条の3以下に基づき設立される法人であり、行政書士資格を持つ社員(出資者兼業務担当者)が2名以上必要とされていた。ただし令和4年の行政書士法改正により、1人社員による行政書士法人の設立も認められた。
- 法人格を持つため、代表者が変わっても組織として業務を継続できる「事業継続性」が個人事務所より高い。
- 扱える業務範囲は個人事務所と同じく行政書士法に定められた権限内だが、組織として複数の専門分野を分担できる体制を取りやすい。
1. 行政書士法人の法的な位置づけ
行政書士法人は、行政書士法(昭和26年法律第4号)第13条の3の規定に基づいて設立される法人です。設立には行政書士会への届出・登録が必要であり、一般の株式会社や合同会社とは異なる法人類型です。
| 項目 | 行政書士法人 | 個人の行政書士事務所 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 行政書士法第13条の3以下 | 行政書士法第1条の2・第1条の3 |
| 設立登録 | 行政書士会へ届出・登録が必要 | 行政書士会への登録(個人) |
| 社員(業務担当者)の資格 | 全員が行政書士資格保有者 | 登録行政書士本人 |
| 事業継続性 | 法人として継続(代表交代に影響されにくい) | 本人の引退・廃業で終了 |
| 複数拠点の設置 | 法人として複数の営業所を設けることが可能 | 原則として1事務所 |
「社員」の意味に注意
行政書士法人における「社員」は、一般企業の従業員を指す「社員」とは異なり、法人の出資者兼業務執行者を意味します。行政書士の資格を持ち、法人の運営責任を担う立場です。補助者(事務スタッフ等)は社員には含まれません。
行政書士法第13条の3(抜粋)「行政書士は、行政書士法人を設立することができる。」同法第13条の5では、社員は行政書士でなければならないと定められています。なお、令和4年改正により1人社員による設立が可能となりましたが、詳細は日本行政書士会連合会または各都道府県行政書士会の公表資料でご確認ください。
2. 行政書士が扱う業務とその範囲
行政書士法人が取り扱える業務は、行政書士法第1条の2および第1条の3に定められた業務の範囲内です。法人化によって業務の権限が拡大するわけではなく、組織として複数の担当者が分業・連携できる点が実務上の特徴です。
行政書士法人が取り扱う主な業務分野
- 官公署への提出書類の作成・提出代行(行政書士法第1条の2)
- 権利義務・事実証明に関する書類の作成(同法第1条の2)
- 申請等の手続きの代理(同法第1条の3)
具体的な業務例としては、相続手続きに伴う遺産分割協議書の作成、遺言書の作成支援、在留資格(ビザ)の申請、帰化申請、建設業許可申請、宅建業免許申請、会社設立に関する定款認証前の書類整備などが挙げられます。
行政書士が取り扱えない業務(注意事項)
法律で他士業の独占業務と定められている手続きは、行政書士法人であっても取り扱えません。具体的には、登記申請(司法書士の独占業務)、税務申告(税理士の独占業務)、労働保険・社会保険の手続き(社会保険労務士の独占業務)、訴訟代理(弁護士の独占業務)などがこれに該当します。複合的な手続きが必要な場合は、他士業と連携する体制を確認することが重要です。
3. 行政書士法人と個人事務所、どちらに依頼すべきか
法人と個人事務所のどちらが適切かは、依頼内容や事務所の体制によって異なります。法人格の有無よりも、担当行政書士の専門経験・業務体制・他士業との連携有無を確認することが実質的な判断材料になります。
法人形態を選ぶ場合に確認すべき点
- 複数の行政書士が在籍しており、担当者不在時にも対応できる体制があるか
- 取り扱う業務分野(相続、ビザ、許認可など)に実績のある担当者が配置されているか
- 税理士・司法書士・社会保険労務士など他士業との連携体制があるか
- 法人として関連会社やグループ組織を持ち、ワンストップで手続きを進められる体制があるか
個人事務所を選ぶ場合の判断基準
- 特定の行政書士に継続して担当してもらいたい場合
- 依頼する手続きが単一の専門分野に収まる場合
- 担当者の専門性・実績が明確に確認できる場合
ワンストップ対応とは
相続手続きを例にとると、遺産分割協議書の作成(行政書士)、不動産の名義変更登記(司法書士)、相続税の申告(税理士)と複数の専門家が関与します。これらを一つの窓口でまとめて相談・手配できる体制を「ワンストップ対応」と呼びます。依頼者が各専門家を個別に探す手間を省ける点が利点です。
4. さいたま市で行政書士法人に相談する際の実務上の確認事項
さいたま市を含む埼玉県内で行政書士法人に手続きを依頼する場合、全国共通の制度と埼玉県・さいたま市の窓口ごとに確認が必要な事項を区別することが重要です。
全国共通の制度として確認する事項
- 行政書士法に基づく業務範囲と報酬(行政書士会が報酬の基準額を廃止したため、料金は各事務所が設定)
- 在留資格申請の場合は出入国在留管理庁の審査基準
- 建設業許可の場合は国土交通省・各都道府県知事の審査基準
埼玉県・さいたま市ごとに確認が必要な事項
- 建設業許可(知事許可)の申請窓口は埼玉県の担当部署
- 宅建業免許(知事免許)の申請窓口は埼玉県の担当部署
- 産業廃棄物収集運搬許可は収集・運搬する区域ごとに各都道府県への申請が必要
- 帰化申請の管轄法務局(さいたま地方法務局)への確認
行政書士法人ロータスは埼玉県さいたま市北区を拠点に、相続・遺言、在留資格(ビザ)、建設業許可・宅建業免許・産業廃棄物収集運搬許可などの許認可、会社設立の手続きを取り扱っています。また、関連法人として不動産業を手がける株式会社ピアー、有料職業紹介事業・登録支援機関業務を担う合同会社ロータス、死後事務・身元保証を行う一般社団法人ロータスと連携し、行政書士業務の範囲を超えた相談にも対応できる体制を設けています。 関連する内容は「行政書士法人ロータス 設立のご報告」でも解説しています。
相続手続きや建設業許可申請の詳細については、下記の専門ページも参照してください。
5. よくある質問(FAQ)
Q. 行政書士法人と司法書士法人は何が違いますか?
A. 取り扱える業務の根拠法が異なります。行政書士法人は行政書士法に基づき、官公署への提出書類の作成・申請代理などを業務とします。司法書士法人は司法書士法に基づき、登記申請の代理や裁判所への提出書類作成などを業務とします。両者の業務は法律上明確に区別されており、互いの独占業務を代行することはできません。複合的な手続きには両者の連携が必要になる場合があります。
Q. 行政書士法人への報酬はどのように決まりますか?
A. 日本行政書士会連合会が旧来設けていた報酬基準額は廃止されており、現在は各事務所が独自に料金を設定しています。申請の種類、業務の複雑さ、資料の準備状況などによって変わるため、依頼前に見積もりを確認することが重要です。行政書士は行政書士法により、依頼者から請求があれば報酬額の提示義務を負っています。 関連する内容は「許認可申請を行政書士に依頼するときの見積書と業務範囲の確認方法」でも解説しています。
Q. 行政書士法人は守秘義務を負いますか?
A. 行政書士法第12条により、行政書士(法人の社員を含む)は業務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定められています。この守秘義務は行政書士法人の補助者(事務スタッフ)にも行政書士法第19条の3の規定により及びます。相談内容が外部に漏れる心配なく依頼できることは、法律専門職への相談における基本的な前提です。
Q. 行政書士法人に相談できる段階はどこからですか?
A. 「何から始めればよいか分からない」という段階からの相談も受け付けている事務所が多くあります。手続きの種類・必要書類・費用の見通しを整理する作業自体が、行政書士法人の重要な役割の一つです。特に相続・ビザ・建設業許可などは、書類を揃える前の段階で要件確認が必要なケースが多いため、早期に相談することで準備の方向性を定めやすくなります。 関連する内容は「行政書士へのオンライン相談で書類を安全に共有する準備|チェックリストと手順ガイド」でも解説しています。
Q. 行政書士法人ロータスはどのような手続きを取り扱っていますか?
A. 行政書士法人ロータス(埼玉県さいたま市北区)では、相続・遺言書作成・家族信託、在留資格(ビザ)申請・帰化申請・特定技能関連、建設業許可・宅建業免許・産業廃棄物収集運搬許可などの許認可申請、会社設立に関する手続きを取り扱っています。詳細は事務所概要ページをご確認ください。
まとめ
行政書士法人を選ぶ際の確認ポイント
- 行政書士法人は行政書士法に基づく法人であり、個人事務所と業務権限は同一だが、組織としての継続性・分業体制に違いがある。
- 法人形態よりも、担当者の専門分野・経験・他士業との連携体制を具体的に確認することが重要。
- 相続・ビザ・許認可など手続きの種類によって、埼玉県・さいたま市の管轄窓口が異なるため、依頼前に申請先と必要条件を確認する。
- 守秘義務は行政書士法で明確に定められており、相談内容は法的に保護される。
- 「何から始めるか分からない」段階から相談することで、必要な手続きと優先順位を整理しやすくなる。
